インドは炭水化物ばかり
大衆的な南インド料理屋さんでランチを注文しようとしたときの出来事です。
メニューがどう見ても偏っているというか、主食(炭水化物)ばかり並んでいるように見えます。
- 米粉の薄焼きクレープ(ドーサ)
- 米粉の蒸しパン(イドゥリー)
- 米麺蒸し(イディアッパム)
- 米粉の生地に野菜ソースを乗せたお好み焼き風(ウッタパム)
- 豆の粉を揚げた塩味のドーナッツ(ヴァダ)
それに対し、おかずは「ひよこ豆の炒め物」たったひとつだとメニュー表に書いてあります。
店員さんに、「米粉の蒸しパンに添えられるおかずは、ひよこ豆の他にないですか?」と聞くと、
「あります。ドーナッツ、お好み焼きとかですね。」
!?
蒸しパンのおかずに、さらに炭水化物…?
しかもどれもパサパサ。
臨機応変で有名なインドですので、すかさず
「クレープの中身だけっていただけますか?」
と聞くと、OKとのことで、
ひよこ豆の炒め物とマサラ味のマッシュポテトをゲット。
ココナッツのソース(どこでも無料で出てくる、日本でいうところのお新香のような位置づけ)も添えてくれたので、パサパサ感も緩和されました。
イギリスはおかずばかり
この稀有な体験をしたことで、イギリスに一か月ホームステイしたときのことを思い出しました。
イギリスの家庭で、米や小麦の「主食」にあたるものが食卓に全くない日があり、
ジャガイモを主食として、野菜炒めや肉がおかずとして出てきたときには、
いくら量を食べてもお腹がいっぱいにならないような落ち着かない気分だったのでした。
ちょうど最近読んだ本に面白い記述があり、この二つの出来事が私の中で繋がりました。
―――そもそも「主食」と「副食」というような考え方が、ヨーロッパにはない。英語にも、フランス語にも、「おかず」などという言葉はありません。ヨーロッパ人なら、日本人が「おかず」と思うようなものばかりをいろいろ食べてもそれで「食事」になっているのです。「主食」と「おかず」の区別のある国は、世界中でもむしろ少ないのかもしれません。―――
川北稔「砂糖の世界史」
これを読んで、
さっきまで私の頭の中を渦巻いていた
インド人は「主食」に「主食」を組み合わせて食べるのか!?
そういえばイギリス人は「おかず」に「おかず」を組み合わせてたな~・・・!
という私の見解は、ごく日本人的なものの見方だったのではないかという考えが沸いてきたのでした。
糖質確保が動物として大事だから?
また別の栄養学の本に、インドでの「主食×主食」の意味を深読みしてしまう言葉がありました。
三大栄養素(糖質・脂質・タンパク質)の中ですぐにエネルギー源となるのは糖質。
栄養失調などで究極の状態に置かれた場合は糖質が真っ先に必要。
という趣旨のことが書いてあります。
インドで物乞いや、髪が脱色しているほどの栄養失調の子供をあまりにも多く見過ぎたせいでしょうか。
インドの「主食×主食」という組み合わせは、究極に追いやられて生まれてきた食文化なのかもしれない、という一つの仮説が頭に浮かんで来ました。
しかし、主食×主食という組み合わせに遭遇したのは恐らく初めてで、
インドでも主食×おかずというのが一般的な気もしています。
主食とおかずの概念・・・
今までは注目したことがなかったので、今後その仮説を検証していくのも楽しいかな、
と思ったここ数日の連続ニュースでした。
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